ビューティー資格ナビ> ネイルガイド> 世界一のネイリストに聞く!ネイルへの飽くなき探求心
今回は、2016年世界ネイリスト選手権にてチャンピオンの座に輝いた、岩井智栄さんにインタビューしました!
世界ネイリスト選手権とは、国内外のネイルコンテスト上位入賞者によって競われる、世界最高峰のコンペティションです。
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今年のネイルチャンピオンに選ばれた岩井智栄さんは、高校を卒業後すぐにネイルスクールに入学され、以降数々の賞を受賞されています。現在はネイリストとして活躍されるだけでなく、Puzzle.ring Nail 岩井智栄 ネイルカレッジにて講師としても活躍されています。
「これからネイリストを目指そう!」と思っている方も、「そもそもネイリストってどんな仕事なんだろう?」と興味を持ち始めたばかりの方も見逃せない内容です。
中学生の時です。ちょうどその頃はネイルアートブームの真っ盛りでしたし、私自身も3人姉妹の真ん中として生まれたので、最新のトレンドやおしゃれに対する関心が高かったんです。当時はまだジェルネイルが誕生していなかったので、マニキュアを塗ったり、アクリル絵の具でアートを描いたりしていました。
ネイルアートなども好きなのですが、私はどちらかというとネイルケアを通して、ぼろぼろだった指先がキレイになっていくことや、アクリルの人工爪が見違えるように変化するところといった、何かがきれいになっていく過程が好きだったんだと思います。
はい。今でこそ「ネイルといえばジェルネイル」という認識が強いですが、ジェルネイルが普及し始めたのは、今から12年ほど前のことです。それまではネイルポリッシュの扱い方や、指先のケアを中心とした技術を磨いていましたし、今でも初心は忘れていません。
子供の頃から細かい作業をするのが好きだったので、よく自分の爪をセルフネイルしていました。もともと美容にも興味があったので、美容師の資格を取ろうかと悩んだりもしたのですが、ネイルスクールの学院長先生のお話に非常に感銘を受け、ネイリストへの道を目指すことに決めました。
編集部からひとこと
中学生の頃からネイルを始められたと伺い、そんなに早くから! と驚かされました。確かに、何もない "ゼロ"から"美 "を生み出す楽しさは、ネイル業界の醍醐味と言って良いかもしれません。
自分の努力によって身についた技術を、お客様に提供し、喜んでいただけるところが魅力です。また、ネイルの技術には終わりがないので、どこまでも追求していける面白さもあります。
ネイルの技術は日々進化していきます。新しい素材も続々と登場しますので、その都度順応していく努力を怠らないことが大切です。その上で、代金を頂くという立場としての「プロとしてのプライド」を持ち続けていただきたいと思います。
今は自分の爪をセルフネイルされる方が多いと思いますが、プロでしかできない施術方法がたくさんあります。例えば刃物を扱ったケアは、少し間違えばお客様の怪我にも繋がってしまいますよね。特に近年においては、プロとセルフネイラーの境目が徐々になくなりつつあります。だからこそ、料金をいただいて施術を行うネイリストは、きちんとした責任感を持って、プロとしての技術を勉強し続けていかなければならないのです。
編集部からひとこと
ジェルネイルの普及の影響で、今や世間ではセルフネイルが大ブームを巻き起こしています。喜ばしいことではありますが、これからネイリストを目指している方々の中には、実際にネイルサロンに足を運ぶことの大切さについて、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
流行は刻々と移り変わっていきますので、雑誌を見たり、ウィンドウショッピングしたりしながら、流行りのカラーをチェックする習慣をつけています。また、ファッションに限らず、美術館で絵画を鑑賞しながら、「こういうグラデーションはどうやって出すんだろう?」と考えるなど、身近なところからも感性を磨いていけると良いですね。
その質問をされてしまうと……(笑)本当にネイル一本でやってきてしまったので、だいたい爪のことかネイルのことしか考えてないですね! 他のネイリストの仲間たちとお酒を飲みながら、ネイルの情報を交換したりしています。
編集部からひとこと
あくまでもネイル一筋! 岩井さんの言葉の端々からは、華やかさの裏に隠されたストイックな職人魂を感じます。デザインのヒントは日常生活におけるさまざまな場所に点在しており、ネイリストたちはそれらのエッセンスを吸収しながら、自分なりのデザインを生み出してゆくのですね。
手が最も美しく見えるフレンチというデザインと、アクリルでしか出せない、その人の手に合ったフォルムを作り上げられる技法。この2つが揃ったとき、まさしく究極の美が完成すると思っています。白とピンクという、たった2色のシンプルなデザインでありながら、見た人に大きな感動を与えることができる。そこに一番魅力を感じますね。
練習時間を何時間と決めてしまうのではなく、意味のある練習をするように心がけていただきたいですね。10分でも20分でも、きちんと集中力を持って濃度の濃い練習を続けていってほしいと思います。
周りの方々に支えられてここまでやってきたので、自分が諦めてしまったら申し訳ないという気持ちや、自分に対して悔しいという気持ち、そしてここまで来たからには最後までやりきろう! という気持ちが常にありました。それから、次はどういうものが作れるようになるんだろう? という好奇心を楽しみに変えて、すぐには難しくても、なるべく前向きに考えるようにしていました。
編集部からひとこと
岩井さんといえばフレンチネイル! というイメージを持っている方も多いことでしょう。一見シンプルなデザインに見えますが、近くで拝見すると大変な重厚感を感じました。表彰式のスクリーン上に映し出された作品を見たときも、目の奥が熱くなるほど感動したことを思い出します。
今年は私の夢が2つ叶った年です。一つは私自身が世界チャンピオンになったこと、そしてもう一つは、私がコンテスト技術を指導した生徒さんが、この度全日本ネイリスト選手権のグランドチャンピオンに輝いたことです。今後も自分が教えた生徒さんの成果が結果として出てくるように、私自身の技術力と共に、指導力も上げていきたいと思っています。
努力していれば、必ずいつか成果が出るのだということを、生徒さんにお伝えすることができるようになりました。フレンチスカルプチュアは、講師試験でもその技術力が問われる大事な種目です。しかし、大変な技術力と根気がいる作業なので、生徒さんの中には苦労をされている方もたくさんいらっしゃいます。そんな中で、「きちんとやり続けていれば、こんな作品ができるようになるんだ!」というお声を頂けると、私自身もやってきて良かったという気持ちになります。自分自身だけでなく、周りの方々にも希望を持って頂けたことが何よりも嬉しかったですね。
未だにコンテストに出場したことがないネイリストが大多数を占める中、やはり私は自分の技術を向上させ、自分の技術に対する一定の評価を得られる場として、コンテストには積極的に出場したいと思っています。ネイルの技術にゴールはありませんからね。
未だに満足のいく作品が作れていないので、次の大会も非常に楽しみにしています。もしも自分が優勝できなかったとしても、今年の作品よりももっと進化した作品を見てもらいたい!というワクワク感が一番ありますね。
まだまだ半分くらいですね。
編集部からひとこと
世界一の座に輝かれても改善点を見出されている岩井さん。来年、いっそうグレードアップした作品を見られる日が今から待ち遠しいですね。この後の岩井さんの言葉をお借りすれば、使命感のその先にある「向上心」を「楽しむ」ことこそが、上達の秘訣ということになるのでしょうか。
そうですね。お客様に接するスキルと技術を教えるスキルは、それぞれ違ったものでもあり、また繋がっているものでもあります。お客様と接する時は、お客様の要望を汲み取り、的確に応えていくことが必要になってきますし、生徒さんに接する時は、技術面を向上させるところだけでなく、コンテスト出場へのサポートなども行っていきます。ですが、自分がネイリストとして技術を磨いていく過程で見つかった、効率の良い練習方法などを、生徒さんに教えることもできるので、それぞれが欠かせない存在ですね。
まず第一に向上心があること。加えて研究熱心でオタク気質がある方が多いですね。
いえ、最初からみんな絵が上手だったわけではないですよ!(笑)平面に描くのとアーチ型の爪に描くのはだいぶ違いますし、練習のときも練習用のハンドを使ったりして、徐々に慣らしていくのです。それぞれの技術にもコツがあるので、それらを利用して上手くアート作品に仕上げているのです。どちらかというとお客様の要望にどう応えられるか、といった柔軟性の方が大事になってきますね。
編集部からひとこと
生徒の受賞がひとつの目標であったように、指導の成果が形になることも、施術とはまた違った喜びを与えてくれると語る岩井さん。ネイルは華やかなイメージがありますが、抜きん出た向上心さえ持っていれば、才能を開花させる可能性を充分に秘めているのです。
そうですね。たとえそのときはキレイに着飾れていたとしても、その後ベースのナチュラルネイルが傷んでしまい、ジェルが付けられない状態になってしまったら、結果的にネイル離れに繋がってしまう可能性もあります。だからこそ、自爪の健康を守った上で、はじめてアートを施すことができることを理解しておく必要があります。それには、プロのテクニックが必要不可欠なんです。特にジェルネイルは、オン・オフする際に、どうしても爪に負担がかかるものなので、適切な知識や技術がないと、爪が傷んでぼろぼろになってしまう可能性もあります。
今、生活にネイルを取り入れている方は数割程度だと思いますが、「アート」としての側面だけを見るのではなく、基本的な身だしなみの一環として、あたかも髪の毛を切るように、爪や指先のケアを取り入れていただけるようになれば、ネイル業界に興味を持っていただける方々も、もっともっと増えていくのではないか、と思っています。
そうですね。最近はメンズネイル限定のサロンも登場し、営業の方などが、身だしなみの一環として通われているようです。
爪が乾燥するとジェルをつけても剥がれやすくなってしまいますので、ホームケアとして日々のお手入れを欠かさずにいただくと、ネイルの持ちが変わってきます。
編集部からひとこと
今だからこそ言える真の技術力とは、「プロならではのネイルケア」。セルフネイルする際も同様に、ぜひネイルスクールでの勉強を通して、爪のケアの方法も一緒に身につけていきたいですね。
「シンプル」です(笑)
私は人の身体にある色味を使わないと、何だか違和感を感じてしまうんですよね。肌の延長線上にある色をつけてあげると、指が長くキレイに見えます。私が今つけているのはバーチャルフレンチといって、ピンク色の部分を長くする技術です。(小声:実はもっと爪がちっちゃいんですよ~)
およそ2時間くらいかかりましたね。
私は指の腹を使って生活できているので、あまり苦労をしたことはないのです。ネイルをしていない人からしたら、最初は違和感があるかもしれません。でも、慣れるとこちらの方が使いやすいですよ!アクリル爪には厚みがあるので、アトピーの方が患部を掻きむしってしまっても、傷になりにくいという利点があったり。髪の毛を洗うときも同様に、自爪で洗うときよりも傷まないのでおすすめです。
そうですね。コンプレックスがある子や、爪を噛む癖がついてしまった子も、ネイルを通じて治療していくことができるので。
編集部からひとこと
忙しさのためなかなか指先をケアできない人も、習慣として少しずつトリートメントを取り入れるだけで、本当に見違えるように変わります、とは岩井さんの談。長い爪での生活が大変そうだから……と悩んでいる方も、その先入観を捨てて一度利用してみれば、案外自然に生活できるかもしれません。ネイルの新たな可能性がまたひとつ、開けそうですね。
いかがでしたか?
「クールジャパン」「カワイイ」などといった言葉が象徴するように、サブカルチャーの分野で海外から注目を集める日本は、やはりネイルの技術もトップクラス。海外の多くのコンテストで日本のトップレベルのネイリストが賞を総なめにしています。これからは誰もが爪のお手入れの大切さを知り、ネイリストのケアを受けられる世の中がやってくるかもしれませんね!
「世界一指先の美しい国、日本」を目指して。今後、ネイリストたちが築き上げる新たな時代に注目です!